「歯医者で根管治療をしてからもう2週間以上放置している」
「一度行かなくなるといった時に怒られそうで行きにくい」
このままでいいのか、どうしたらいいか分からない、というあなた。
結論から言うと、根管治療を放置していると根っこの中に、どんどんと細菌が入り膿が溜まり続けるので、痛いなどの症状もある方は急いで歯医者に行きましょう!
なぜなら、被せ物も入れていない状態だと歯と根っこの中の隙間が必ずあり、そこから細菌が侵入して、最終的には根っこの中が細菌だらけになります。
そうすると膿が出てきたり、痛みが出てきたり、長い期間放置し続けると歯が割れて残せなくなるケースもあります。
「勝手に治る」なんてことはないのです。
だから、根管治療をした歯は最後の被せ物を入れるところまで治療を進めることが、放置の1番の対処法になります。
あなたの今、放置している歯の状況を理解し、あなたに合った怒られない安心と納得できる歯医者を見つけてベストな治療をいきましょう!
目次
1 根管治療を放置すると起こる症状とリスク
根管治療を放置することによって様々な症状が出てきたり、リスクが伴ってきます。
それをこの章ではお伝えしていきますね!
1-1 歯根に膿が溜まる
放置し続けた歯は、歯と根っこの中の隙間があり、その隙間から細菌が入り込み根っこの中が細菌だらけになって、最終的には根っこの先に膿が溜まります。
1-1-1 膿が溜まる理由
何故なら、根管治療中の歯には基本的には根っこの穴の部分に仮フタを詰めます。
その仮フタは、あくまでも「仮」になるので強度や密閉性が弱いのです。
強度や密閉性の効果をしっかり発揮できるのは、長くても2週間でしょう。
さらに、どこから細菌に感染するかというと、実は唾液からがほとんどです。
唾液には500〜700種類の細菌が常に存在しています。
その中には良い菌もいれば、もちろん悪い菌もいるんです。
歯はいつも唾液に触れている状態なのに、歯と根っこの中に隙間なんてできるとそこから細菌がどんどん入っていく、悪い方にどんどん進みます。
膿が溜まると、症状がない時もあれば違和感や噛んだ時に痛みが出たりします。
1-1-2 膿が溜まった状態で放置
そして、膿が溜まりすぎるとサイナストラクトといった歯茎にできるニキビのようなできものができることもあります。
膿が溜まると身体の防御反応が働き、膿を出そうと原因の歯の根っこ近くの歯茎に膿の出口を作ります。
この膿の出口がまさにサイナストラクトです。
サイナストラクトができていても痛みが出ることはほとんどないですが、サイナストラクトから膿が出てきたり、体調を崩した時など免疫が下がると違和感や歯茎も腫れて痛みが出る場合もあります。
痛みが出るということは、「かなり強い炎症が起きている」という兆候である可能性が高いので、基本的には痛みや膿が出た場合は早急に歯医者にいきましょう!
1-2 歯の周囲の骨を溶かす
先ほど根管治療を放置していると、膿が溜まると書きました。しかし、実は根っこの先に膿が溜まるということは、その膿の部分の骨は溶けてなくなってしまっているということになるのです。
歯は、歯槽骨という骨で強く支えられていますが、その歯槽骨が溶けてしまうと歯がグラグラ揺れてきたり、最悪の場合には抜けてしまったりします。
〜放置し続けた結果〜
放置している時間が長くなればなるほど、膿の大きさは大きくなっていき歯槽骨もどんどん溶けていきます。
一般的には根管治療を行い、歯の中(根管)を綺麗にすれば歯槽骨は再生します。
しかし、膿が大きすぎると隣の歯まで到達してしまったり、根管治療では治らないくらい難しくなってしまうケースもあります。
その場合は、膿と一緒に歯根の先端を切除する外科処置が必要になることも。
そうならない為に、痛みがなければ今すぐにでなくても良いので、時間の取れる日に早めに歯医者にいきましょう。
1-3 副鼻腔炎(蓄膿症)や神経感覚が麻痺することもある
根管治療を放置し続けると膿が溜まり、その膿が大きくなります。
膿が大きくなりすぎると、副鼻腔炎(蓄膿症:ちくのうしょう)や神経感覚が麻痺することがあります。
膿が溜まる歯が上顎の場合と下顎の場合で起こりうる症状が変わってきます。
放置し続けた歯は、歯と根っこの中の隙間があり、その隙間から細菌が入り込み根っこの中が細菌だらけになって、最終的には根っこの先に膿が溜まります。
さらに膿が溜まった状態を放置しておくと、膿がどんどん増え、根っこの先の膿の範囲が大きくなります。
1-3-1 上顎の場合のリスク
上顎の歯の糸切り歯(前から見て3番目)から奥歯までの歯根の上には、副鼻腔(上顎洞)といった鼻などに繋がった空洞が存在します。
膿が大きくなりすぎると、そこに膿が到達することがあります。
その副鼻腔(上顎洞)まで膿が到達すると、炎症して歯性上顎洞炎が起こります。
症状としては鼻症状(鼻閉・鼻漏・後鼻漏)や頭痛、頬部痛、顔面圧迫痛を伴うこともあります。
1-3-2 下顎の場合のリスク
下顎の歯の下(顎の辺り)には、下歯槽神経という大きな神経が通っています。
その下歯槽神経には、下顎の皮膚や下唇の感覚に関係する神経があります。
その神経まで到達すると、下歯槽神経が麻痺して唇や皮膚に違和感や痺れが感じる場合もあります。
副鼻腔炎や唇や皮膚に違和感や痺れがでた場合、歯医者だけの対応が難しい場合もあります。そのような場合は、大きな病院を紹介することもあります。
1-4 歯が割れる、ヒビが入る
放置していると抜歯のリスクが高くなります。
放置している方で今仮フタの状態、あるいは穴があいたままの状態か土台(コア)の状態だったりあるいは被せ物もついているが根管治療が必要と言われたままの方もいるでしょう。
〜歯にかかる力の大きさ〜
あなたは知っているでしょうか?人間は噛む力が平均で60〜70kg(男性:約60kg・女性:約40kg)だと言われています。
もし、被せ物が入っていない不安定な状態だと、力がうまく分散されず残っている歯に直接ダメージを受けやすいので、そんな大きな力が加わると歯が破折するリスクがグッと上がります。
それで破折してしまった場合(特に縦に破折)は、ほとんどが抜歯の診断になってしまうのです。
※ 放置のままのリスク
被せ物が「ある」「ない」とでは「ない」の方が6倍歯を失うリスクも高いといわれています。
他にも最初に書いたように、放置し過ぎると膿がどんどん大きくなっていきます。そして、歯以外の場所にも症状が出たり、外科処置が必要になったり、あまりに大き過ぎると地域の歯科医院での治療は困難になり大きな病院での治療が必要になることもあります。
こういった事から、リスクを下げるためにも早めの歯医者へ受診しましょう。
2 放置し続けた期間が長くても治療は可能か?
どれだけ放置し続けた歯でも、治療は可能です。
ただ、その治療も「再根管治療なのか抜歯の治療なのか」は検査しないと分かりません。
期間については何日、何ヶ月、何年放置したから治療できない・歯が残せないなど明確には決まっていません。
なぜなら、必ず個人差があるからです。
一番大切なのは「歯が縦に割れていないか」と「自分の歯が十分に残っているか」で、歯が残せるか残せないか大きく関わってきます。
ですので、放置期間がどれだけ長くとも、その2つさえ大丈夫であれば再根管治療は可能です。
ただ、自己判断では難しいので歯医者に行き、検査が必要です。
最も歯が残せない、抜歯になる原因が「破折(クラック)」です。
なんと、全体の60%を占めています。
歯が割れているかどうかは目で分かる場合もあれば、マイクロスコープ(顕微鏡)を使わないと分からないこともありますが、発見率が高いのはやはりずば抜けてマイクロスコープ(顕微鏡)になります。
〔症例1〕当院の患者様で、7ヶ月放置し続けた患者様でマイクロスコープで治療した結果、綺麗に治りました。
歯の頭の部分がかなり無くなっていて、根っこの中に細菌が感染し、先には膿が溜まり始めていました。噛めない、物が詰まるなんてことも。
この方は、歯を残す・また再治療にならない為にマイクロスコープでの再根管治療を選択され、元々入っていた薬をとり消毒をしっかりと行いました。前医院での治療では、見つかっていなかったもう一つの根っこの管も見つかり、先まできっちり薬を詰めて、今では頭の部分も修復されました。
マイクロスコープだからこそ保険治療では見つからない細い根っこの先も見つけて治療することができ、自費治療だからこそ使えるM T Aセメントといった密着性と親和性の高い特殊な薬を詰めることで、その後も隙間から細菌が侵入するのを防げるということに繋がります。
今では患者様も物が詰まることもなく問題なく噛んでお食事が出来るようになりました。
ちなみに、症状が改善・噛めるようになっても根っこの先に膿が溜まって溶けてしまった歯槽骨が治るのは1年〜数年かかるので治りの経過を見る為にも、メインテナンスも大切です。
3 治療について
3-1 再根管治療
膿が溜まっていても特に歯には問題なければ再度、根管治療をすれば多くの場合は治ります。
再度、根管治療を行い歯の中から歯根の先端までしっかり消毒を数回繰り返す→根管内に薬を詰める→土台(コア)を立てて形を整える→被せ物の型取り→被せ物装着 までが一通りの流れです。
※状態によってはそのほかの処置が必要なこともあります。
ただ、保険治療では使う材料や器具が限られるので、保険治療でもしっかり治るケースもありますが「もう何回も同じことをしたくない!」と言う方にはマイクロスコープを使い、様々な材料や器具を使用できる精密根管治療(自費診療)がお勧めです。
3-2 抜歯
歯が割れてしまっている場合は抜歯になります。
なぜなら歯根まで割れてしまうと、歯茎の中での修復が不可能だからです。
抜歯の場合、抜歯した後ブリッジ・入れ歯・インプラントのいずれかが選択になることがほとんどです。
ただ、割れている位置によっては残せる場合もあります。
※歯の割れ方やヒビ割れであれば残せる場合もありますが、レントゲンや直接見た歯の状態を検査しないことには判断は難しいです。
なので一度しっかりとレントゲンなど詳しい検査を受けましょう!
4 費用について
保険診療が3割診療負担の方は、合計で4000円〜7000円程度と考えておけば大きく外れることはありません。保険治療の被せ物と、自費治療の被せ物で費用が異なるのと同様に、保険治療の再根管治療と自費治療の再根管治療の費用は異なります。
- 保険治療の再根管治療の場合(*令和2年4月:保険診療10割負担の場合で計算)
・初診料 2400~2510円(医院の設備体制で変動)
・再診料(2回目以降) 440~510円(医院の設備体制で変動)
・詰め物や被せ物の除去料 200~360円(除去する素材で変動)
・土台の除去料 600円(土台が大きければ)
・感染根管処置 1560~4460円(歯の根の数で変動)
・根管貼薬 300~540円(歯の根の数で変動)
・根管充填 720~3300円(加圧の有無や、歯の根の数で変動)
・レントゲン 380~4100円(レントゲンのサイズやデジタル化で変動)
保険診療は全国の歯科医院で同じ費用ですが、設備(施設基準)などでやや変動します。
しかしながら、下の奥歯で顕微鏡を使用した場合は追加で1200円程度費用が増加します。歯周病の検査や治療、新しい土台や被せ物の費用は別途かかります。
- 自費治療の再根管治療の場合
自費治療の再根管治療の場合、歯科医師が患者さんの歯の状態や、患者さんの希望、地域性などを考慮して自由に費用設定しているので、保険診療のように「全国ほぼ同じ」ではありません。
下図は、参考までに当院の例となります。
費用設定のパターン様々ですが、代表的な支払いパターンは下記の2通りです。
- 保険診療と同じように、その都度で自費診療費用の設定がある場合
- 費用支払いの回数は1回で、根管治療が終わるまでの全ての費用が含まれている場合
5 放置しすぎた根管治療はアスヒカル歯科へ
アスヒカル歯科ではまず初めに精密な検査を行い、患者様の不安や希望を専門のカウンセラーがしっかりお伺いしております。
さらに。根管治療に関しては根管治療専門医(世界で最も権威あるA A Eの学会認定医)が処置を行います。
歯を残すこと・長持ちさせることに対する最新の設備と治療方法を備えております。
「放置していることに怒られたくない」「歯医者に通い続けるのが苦手」「何をしているのか分からない」「歯を残したい」などの様々なお悩みを持っておられるあなた。どうぞ安心してください。
当院でも患者様から怒られずに安心して治療を最後まで終えることができた。本当に良かった。という声も多いです。
根管治療専門医の先生をはじめ、スタッフ全員があなたに寄り添った治療を提供できる環境・知識・技術を準備していますので、いつでもお問い合わせお待ちしております。
アスヒカル歯科根管治療専門サイト :https://osaka-endodontic.or.jp
6 まとめ
根管治療はあまり自覚症状がないですが、実は自分の知らないところでどんどんと悪化しています。勝手に治るなんてことはないんです。
目で見えるところだけでなく、見えないところまでしっかり検査をして現状を知ることが大切です。
歯を残すために大事なことは「正しいその歯に合った根管治療」です。
今の時代では、怒る歯医者も減ってきていると思います。
もう選択肢が抜歯しかない!手遅れ!なんてならないように、今ある可能性を無くさないように一度勇気を出して歯医者に受診されてはいかがでしょうか。
歯茎にできた膿について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい
「膿が溜まっている・膿が出たら根管治療が必要!原因・症状・治療とは」
根尖病変(根っこの先の病気)について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「放置すると抜歯になる!根尖病変の正体と原因および治療法を徹底解説
https://asuhikaru-shika.com/knowledge/endodontics-periapicalpathosis
根管治療の手順について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「根管治療の7の基本手順とシチュエーション別解説!
https://asuhikaru-shika.com/knowledge/enddontics_procedure」
根管治療の治療期間について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「根間治療に必要な期間と治療を繰り返さないためのポイント
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根管治療における費用について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
根管治療の費用を抑えたい方へ!費用相場と治療をするためのポイント
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「精密根管治療とはどんなものなのか?治療内容や費用・期間を徹底解説
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