「ラバーダム」と呼ばれるものを聞いたことはりますか?
ラバーダムとは歯科の治療時に使用する、ゴムのマスクのことです。
根管治療時に使われています。
感染を予防できたり、お薬の漏れを防いだり器具の飲み込みを防ぐなど、ラバーダムは優れものです。
しかしどうでしょうか?
ラバーダムを使用せずに根管治療を受けられている方も多いと思います。
そもそもその正体を知らない方も多いのかもしれません。
「ラバーダムは使っても、使わなくてもいいの?」
「使わなくても安全なの?」
「前は使っていたのに、今は使用していないがそれっていいの?」
今日はこんなお悩みの方にラバーダムが超重要な理由や費用についてなど徹底解説!
ぜひお読みいただき、ラバーダムを使用している医院を見つけていただければと思います。
目次
1根管治療におけるラバーダムとは
今まで、見たことはあるでしょうか?
多くの場合は、根管治療に使用します。
歴史も古く、1864年ニューヨーク州開業医のS.CBarnumによって開発されました。
このラバーダムを使用することで、細菌感染の予防になり、治療中に使用する薬の漏れる危険性がなくなり、治療に対して非常に優れています。
ですので、根管治療でのラバーダムの使用は必須なのです。
しかしどうでしょうか?
ラバーダム診療を見られたことはありますか?
実は日本でのラバーダムの使用率はとても少ないのです。
引用元:吉川剛正・佐々木るみ子・吉岡隆知・須田英明・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・摂食機能保存学講座・歯髄生物学分野
図でも分かるとおり、日本の根管治療専門医の約半分の方はラバーダムを使用せずに根管治療を行なっているのです・・・。
「ほとんどの人が使っていないのであれば、ラバーダムは使用しなくてもいいのか?」
それは違います。
根管治療の1番重視されるべきことは感染をさせないこと。
お口の中には常に唾液が存在しますが、唾液の中には虫歯菌などの様々な菌が存在しています。
その唾液が治療中の根っこの中に入ってしまうと、感染を引き起こしてしまうのです。
引用元:KakehashiS, StanleyHR, FizgeraldRJ.Theef fectofsurgicalexposuresofdentalpulpsin germfreeandconventional laboratoryrats.OralSurgOralMedOralPathol.1965,20:340-349.
その結果、ラバーダムを使用しなかった方が抜歯(歯を抜く)になる確率が高かったり、術後の痛みが取れないという方がいることが論文としても取り上げられています。
ですので、根管治療においてラバーダムを使用することが必要不可欠なのです。
2ラバーダムが超重要な4つの理由
ラバーダムが超重要な理由は4つあります。
① 感染予防
② 薬の漏れを防ぐ
③ 器具の落下を防ぐ
④ 快適さ
今からその4つについての解説があるので、是非読んでみてくださいね。
2−1唾液からの感染予防ができる
1つ目の重要なことは感染予防です。
お口の中には常に唾液が存在しますが、唾液の中には虫歯菌や歯周病菌など多くの菌が多数存在します。
それが治療中の根っこの中に入ってしまうことで、せっかく治療をしても再発しやすい状態になってしまいます。
そこで必要になってくるのがこのラバーダム!
ラバーダムをつけることで、お口の中にある唾液の侵入を、つまり感染源の侵入を防いであげることができます。
例えば、手術をするときも綺麗な手袋をして手術をしますよね。
これをすることで感染を防げるということです。
ですので、感染予防をするためにラバーダムというのは重要視されているのです。
また、近年ではラバーダムがコロナの感染をも守ることができる可能性があると言われています。
ラバーダムをしていると唾液自体が飛び散らず、ラバーダムをつけた際に歯の表面を消毒すれば、しっかりと感染から守られるということです。
歯だけではなく、患者様も術者にとってもラバーダムは非常に優れものなのです。
2−2薬の漏れを防ぐ
2つ目に重要なことは薬の漏れを防ぐことです。
根管治療に欠かせないのが、「根っこの中を消毒する」という過程です。
この図の③の「消毒をする時」に、お薬をいくつも使用します。
このお薬、苦いものや、ほっぺなどの粘膜をヒリヒリと感じさせるものが中には含まれています。
これがラバーダムをせずにお口の中に直接こぼれてしまうと、粘膜がただれたり、苦味を感じてしまいます。
この事は、かなり不快です。
ですので、ラバーダムをすることで、お薬がお口に直接流れることなく安全に治療をすることができます。
2−3器具の落下を防ぐ
3つ目に重要なことは器具の落下を防ぐことです。
根管治療には、このファイルと呼ばれる道具を使用します。
このファイルは、治療にはとても優れており多くの術者がこれを使用していますが、ファイルの先は尖っているものがほとんどです。
これが万が一お口の中に落ちてしまっては大変!
ほっぺなどが切れてしまう恐れもあります。
そこで役に立つのがラバーダムです。
お口の全体を覆っているので、万が一器具が落ちてしまっても、直接お口の中に落ちるわけではないので、粘膜が切れてしまうことなく安心できます。
2−4舌や頬を傷つけずに治療に集中できる
4つ目に大切なことは快適さです。
ラバーダムというのは、患者様だけがたくさんのメリットがあるわけではありません。
実は、術者にとっても大切な道具なのです。
ラバーダムをしない状態で根管治療をしようとすると、薬をこぼさないように、器具を粘膜にぶつけないようになどたくさん気を使う必要があります。
しかし、ラバーダムをすることで患部に集中することができ、スピードアップ・クオリティーアップにつながるというわけです。
そのために、治療が早く進みますので、患者様も術者も快適に治療をすることができます。
3ラバーダムの費用について
☆1 Ciモールより参照 ☆2 FEEDデンタルより参照
上記に載っているものは、ほんの一部で他にもたくさんの種類があります。
低い金額であっても20円前後はします。
もちろん、もっと費用をかけられるラバーダムもあるということです。
3−1保険診療の場合
通常の保険診療で、おおよその再根管治療の費用は4000〜7000円と言われています。(保険診療3割負担の場合)
(令和2年4月:保険診療10割負担の場合で計算)
下記の表は、再治療が必要になった場合の根管治療の保険料金です。
見て分かる通り、保険診療にラバーダムの費用は含まれていません。
しかし、ラバーダムは1枚20円から数百円するものまであります。
根管治療は数回の回数がかかり、それだけ費用も必要なため保険診療でのラバーダムの使用率は低いとされています。
また、その分再治療になる確率も高いというわけです。
3−2自費診療の場合
自費診療の場合は、各医院で金額が設定されているので、「全国どこにいっても平均これぐらい」という明確な数字を出すことが難しいです。
下の図は例として、当院の再根管治療の料金表を示しています。
自費診療の場合は、保険診療と違い保険診療の規制に縛られずに、最適なものを使用することができるので、ラバーダムは必ず使用します。
また、感染の予防やお薬の漏れ、器具のお口の中への落下を防ぐなど、安全に治療を行う上ではラバーダムは必要なものなのです。
その分、治療の成功率も上がります。
4ラバーダムはしんどくないのか
ここまでくると、ラバーダムが重要だということはお分かりいただけたと思います。
では、このラバーダムをすることはしんどくないの?
このように思われる方も多いと思います。
見た目が口を覆われているので心配になりますよね。
よくこんな質問がきます。
①溜まった唾液は飲み込んでもいいのか
②ラバーダムを装着していて息ができるのか
③治療の途中でうがいはできるのか
そこで今から3つのテーマでラバーダムはしんどくないのかを確認していきましょう!
4−1溜まった唾液は飲み込んでもいいのか
答えは「はい!」
溜まった唾液を飲み込んでも大丈夫です。
ラバーダムをしているので、使用するお薬や、治療時の水はお口の中には流れ込みません。
しかし、ご自身で作り出す唾液は溜まってしまいます。
その唾液は途中で飲み込んでも大丈夫です。
ただ、装置をつけている状態での唾液を飲み込む作業は難しく感じられる方もおられます。
そういった時は、アシスタントがお口の横から唾液を吸い込むことができるので、ご安心ください。
また、ずっと吸い続けて欲しい方に対して、吸い続ける道具というものも存在します。
よって、治療に行かれた際に、担当の術者に聞いてみるということが良いと思います。
4−2息はできるのか
こちらも答えは「はい!」
ただし基本は鼻で呼吸してもらえると苦しくなく、診療することができます。
花粉症で、鼻で息ができない。
いつも口呼吸です。
といった方も、ご安心ください。
唾液が溜まると横から吸引することができるので、ある程度お口での呼吸も可能です。
当医院では、患者様への声かけを大切にしているので、「唾が溜まった時には、左手をあげて教えてください。」と常に確認を取りながら進めております。
4−3途中でうがいはできるのか
こちらの答えは「いいえ」です。
前述にもありましたが、根管治療の大敵はご自身が作り出す唾液です。
うがいをするには、ラバーダムを外さなければなりません。
そうすることで、治療中の根っこの中に唾液が入ると感染してしまい成功率も下がってしまいます。
ですので、基本はラバーダムを治療中に外すことはできません。
しかし、途中でどうしてもうがいがしたくなった時には、必ず術者にお知らせください。
仮のフタをしてラバーダムを外したりと、術者に知らせることで対策をしてから外すことができるので、もしもの場合はお知らせいただくと、感染を防ぐこともでき、外すことも可能です。
【まとめ】
・溜まった唾液は飲み込める
・ラバーダムを装着していても息はできる
・基本的に途中のうがいはできない
大事なことは、どれも術者に手をあげるなどして「状態を知らせる」ということです。
ラバーダムをしていると、どうしても患者さんの表情がわかりにくいもの。
ですので、お知らせするということが大切です。
5ラバーダムができない方へ
上記の話から、「やっぱりラバーダムは不安でできない。」と思われた方もいると思います。
実際、ラバーダムをするのとしないとのとでの成功率は大きく変わります。
ですので、ラバーダムをしなければ治療の成功率は大きく下がってしまうということです。
しかし、ラバーダムより少し効果が落としますが、『ズー』と呼ばれる装置があります。
これは、自動で唾液を吸ってくれる装置です。
矢印の穴の所から唾液を吸ってくれるので、感染を防ぐことができます。
ただし、完全に唾液を防いでいるわけではないので、感染のリスクはありますし、薬の漏れや器具の落下のリスクもあります。
しかし、何も入れずに治療するよりは効果的です。
アスヒカル歯科ではこの「ズー」と呼ばれる装置を使用しています。
ただし、この装置も所持している歯科医院や、所持していない歯科医院によって、方法が変わってくるので、事前に連絡を入れて確認をとることがオススメです。
6ラッテクスアレルギーの方でもラバーダムは使用できる
ラテックスアレルギーの方でもラバーダムは使用できます!
今まで「アレルギーがあるからできない」と思われていた方もおられるのではないでしょうか?
ラテックスアレルギーがあると、ゴム製品にラテックスが含まれていることも多いため、できないと思われがちです。
しかし、ラテックスフリーのラバーダムも存在します。
実際に、当医院のラテックスアレルギーの患者様は、ラテックスフリーのラバーダムを使用することで、治療が可能になった方がおられます。
こちらも、事前に教えていただくことが大切です。
ですので、アレルギーがある場合も術者へ伝えていただければと思います。
7アスヒカル歯科ではラバーダムを使用しています
当医院ではラバーダムを使用しています。
唾液からの感染を防ぐ、お薬の漏れを防ぐなど術者もスタッフも重視しており、治療時には必ずラバーダムを使用しています。
もちろんラバーダムが苦手な方もおられるのでズーと呼ばれる装置も常備しております。
「できる限り再治療なく治療されたい」と思われる方は、ラバーダムを使用している医院を探していただければと思います。
もちろん当医院でも使用していますので、ご興味ある方はぜひご連絡ください。
カウンセラーがいるのでなんでもご相談いただけます
アスヒカル歯科ではカウンセラーによるお話のお時間をとることが可能です。
アレルギーのことや、ラバーダムが苦手という方、またラバーダムの重要性を知って使用したいが、使ってもらえるのか、などなどなんでもご相談いただけます。
治療についても丁寧にご説明できればと心がけておりますので、安心して通うことができます。
術者は常に知識と技術を磨いています
そして、何よりも大切なことは術者の治療に対する知識と技術です。
アスヒカル歯科の院長はAAE(アメリカ歯内療法学会)の専門医です。
⇨根管治療専門医です。
ですので、ラバーダムはもちろん、治療に対しても知識と技術を磨いておりますので、ご安心ください。
「 しっかりと感染なく治療を受けたい」と思われる方は、ぜひお問い合わせお待ちしております。
アスヒカル歯科根管治療専門サイト:https://osaka-endodontic.or.jp
8まとめ
いかがだったでしょうか?
しっかりとご理解いただいた上で、「できるだけ再治療の少ないように」ラバーダムを使用している医院を見つけていただければと思います。
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