歯医者で治療中に「詰め物」という言葉をよく聞きますよね?
根管治療中にもよく「詰め物をして今日は終わりますね」や「根っこの中に最終の詰め物をして根管治療は終わりです」と聞いたことがあると思います。
根管治療における「詰め物」とは「仮蓋」と「根管充填材」の2種類あります。
「仮蓋」は次回の治療まで歯に開けた穴を埋める材料で、「根管充填剤」は根っこの中に最後に詰める材料です。
この2つは、それぞれ根管治療に使う「詰め物」です。しかし、用途と性質の違う材料です。
正しい材料を使用しなければ、いつまでも根管治療が終われず再治療になります。
それなら「詰め物」の種類や、正しい材料が何なのか知りたいですよね?
この記事では、
・根管治療における「詰め物」について種類や用途
・正しい材料や欠けたり痛みがある時の対応
などを、根管治療専門医が絵や表を使って詳しく説明していきます。
目次
1 根管治療での詰め物には「仮蓋」と「根管充填材」の2種類ある
根管治療における「詰め物」とは「仮蓋」と「根管充填材」の2種類あります。
通常根管治療は2〜3回治療回数がかかります。
上の図の①〜④までを2〜3回かけて治療を行いますが、
「仮蓋」は次回の治療まで歯に開けた穴を埋める材料
「根管充填剤」は根っこの中に最後に詰める材料
として使用する材料(詰め物)です。
それぞれ詳しくみていきます。
1-1仮蓋
「仮蓋」とは根管治療期間中に次の治療までの間、歯にあけた穴の部分を封鎖する「仮」の「詰め物」です。
根管治療は通常2〜3回治療回数がかかります。
根管治療は歯を大きく削り歯の中から根っこの管をキレイにする治療です。
根管治療は通常2〜3回ほど治療回数がかかるのでその間「仮蓋」で穴を塞いでおきます。
次の治療で仮蓋を取って治療するので「仮蓋(仮の詰め物)」といいます。
1-2根管充填剤
「根管充填剤」とは歯の根っこの中を封鎖する「詰め物」です。
歯の根っこの中には本来「歯の神経」が入っているのですが、根管治療を受けた歯の根っこの中には神経はなく、歯の根っこの管は空洞になっています。
この空洞に入れる詰め物を「根管(歯の根っこ)充填材(詰め物)」といいます。
2根管治療で詰め物をする理由
1章で説明したように「詰め物」は2種類ありますが、それぞれ詰める理由があります。
2-1仮蓋を詰める理由
仮蓋を詰める理由は、「次の治療までの間、歯の中に細菌が入るのを防止するため」です。
根管治療は歯を大きく削り、歯の中から根っこを治療します。
ですので、根管治療期間中は歯に大きく穴が空いています。
この削った穴をそのままにしておくと細菌が中に入り、歯の根っこが感染していきます。
根管治療をして歯の根っこの中がキレイになっても仮蓋をせず穴が空いた状態にしておくと、次の治療までの間に細菌が入りいつまでも治療を終わることができません。
2-2根管充填剤を詰める理由
①歯の根っこの中を封鎖して細菌が入ってこないようにするため
根管充填をする一つ目の目的は「歯の根っこの中に細菌が入らないようにするため」です。
細菌が歯の根っこの中に入ると、歯の成分を栄養にして細菌がどんどん増えていきます。
細菌が増えると根っこ先で炎症が起こります。こうなると、再度根管治療が必要になります。
②歯の根っこの中に残った細菌が増えないようにスペースを埋めるため
根管治療で、針のような器具(ファイル)と洗浄液を使って歯の根っこの中をキレイにします。
しかしながら、治療をしても根管の中の細菌数を0(根管内の無菌化)にすることはできません。
どんなに歯の根っこの中をキレイにしても、細菌は必ず残ってしまいます。
根っこの中に残った細菌は、栄養とスペースがあるとどんどん増えていきます。
ですので、根っこの中に残った細菌がこれ以上増えないために根管内の隙間を埋める必要があります。
その隙間を埋めるために、根管充填をします。
③治療した根っこを破折から守るため
根管充填をし、根管充填材と歯の根っこが密着することで封鎖できるだけではなく、歯の根っこが破折しにくくする効果があります。
根管治療をした歯は、根っこの内側を削っているので、根っこの厚みが薄くなります。
薄くなると歯が破折しやすくなります。
3 仮蓋に適しているのは「水硬性セメント」
仮蓋にはいくつか種類がありますが、1番適しているのは「水硬性セメント」です。
細菌が歯の中に侵入することを防ぐためならば、レジンやベースセメントという硬い材料も適していますが、この2つは除去するために歯を削ってしまいます。除去に時間もかかるので、仮蓋としては「水硬性セメント」が1番適している材料です。
しかしながら、水硬性セメントは2週間に一回は交換が必要な材料なので、2週間以上治療を受けられない時は、より硬い材料で仮蓋をすることをお勧めします。
ストッピングという材料がありますが、この材料は仮蓋として適していません。
ですので、仮蓋にはストッピングは使用しません。
4「根管充填剤」に適しているのは「ガッタパーチャ+バイオセラミックシーラー」or「MTA」
4-1根管充填剤の種類
根管充填材は種類があり、保険治療と自費治療で使える材料が違います。
それぞれの特徴を表にまとめました。
・保険適応のガッタパーチャ+シーラー
また、操作性がいいことも特徴の一つです。
しかし、
・封鎖性
・機械的強度など
シーラーは体に害はありませんが、歯の根っこの先に触れると刺激があったり、時間が経つと吸収されなくなります。
バイオセラミックシーラーとはMTAの性質に近いシーラーです。
ですので、従来の保険治療適応のシーラーと比べ、封鎖性や強度など根管充填材に適した性質を持っています。
また、根っこの内側と接着し、操作性もいいので根管充填に適した材料といえます。
専用のガッタパーチャとは、根っこをキレイにするために使った針のような器具(ファイル)の形にピッタリと合ったガッタパーチャのことです。保険適応の物と比べメーカーごと、ファイルの形とガッタパーチャの形が一致するよう精密に作られています。
MTAは、最も根管充填に適した材料です。
上に表からもわかるように、操作性以外の根管充填剤としても性質を全て持っています。
再治療、破折による抜歯のリスクを軽減できる最適の材料です。
4-2根管充填剤には「ガッタパーチャ+バイオセラミックシーラー」or「MTA」を選んでください!
根管充填材はかならず「ガッタパーチャ+バイオセラミックシーラー」か「MTA」を選択して下さい。
従来の保険適応の「ガッタパーチャ+シーラー」だと封鎖性が悪く、機械的強度も低いのです。
また、従来の保険適応の根管充填剤だと、再根管治療、最悪の場合には抜歯になる可能性があります。
根管充填剤の性質を考えると、「ガッタパーチャ+バイオセラミックシーラー」か「MTA」を選択しなければなりません。
・根管充填の例
根管充填を症例使って説明します。
MTAで根管充填した症例です。
5 詰め物が欠けたり、痛みが出た時は今すぐ歯医者へ!
仮蓋がかけていると、歯の中に細菌が入り、いつまでも歯の中が感染し続けることになります。
この状態を放置していると、前回の治療の効果がなく、同じ治療を繰り返す必要があります。
6 詰め物をするなら根管治療専門医で!
再治療にならないため、詰め物である仮蓋や根管充填剤の「質」がとても重要になります。
2章で述べたように詰め物をする目的は
仮蓋:次の治療までの間、歯の中に細菌が入るのを防止するため
根管充填剤:歯の根っこの中を封鎖して細菌が入ってこないようにするため
歯の根っこの中に残った細菌が増えないようにスペースを埋めるため
治療した根っこを破折から守るため
です。
どちらも失敗すれば歯の根っこの中で感染が起こり再根管治療が必要になります。
歯の根っこの中は目では見ることができず、治療がとても困難な場所です。
その根っこの中を再治療にならないよう根管治療を行うには高い技術が必要におなります。
高い精度の根管治療を受けるために、根管治療専門医に治療してもらうことをお勧めします。
十分な知識と世界レベルの技術を持つ根管治療専門の歯科医師、レントゲンだけだは把握できない歯の根っこの形態を調べるために使うCBCT、拡大して歯の根っこの中を見ることができるマイクロスコープなどが揃っていることで精度の高い根管充填を行うことができます。
6-2 アスヒカル歯科では精度の高い根管治療をしています!
アスヒカル歯科では適切な器具や設備があり、専門的な知識をも持ち、十分なトレーニングを積んだ専門医により、精度の高い根管治療を受けることができるので、再治療を回避でき長く自分の歯を残すことができます。
アスヒカル歯科の根管治療専用ページのリンクを貼っておきますので、詳しく知りたい方はご覧ください。
アスヒカル歯科の根管治療専用ページ https://osaka-endodontic.or.jp/about.php
7 まとめ
・仮蓋に適しているのは「水硬性セメント」
根管充填剤に適しているのは「ガッタパーチャ+バイオセラミックシーラー」or「MTA」
アスヒカル歯科の根管治療専用ページ https://osaka-endodontic.or.jp/about.php
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