幼児への砂糖は控えるべきPart2【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】
2019.04.01
アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。
今回も幼児への砂糖の与え方について考えていきます。
前回、虫歯予防には乳歯が萌えそろう3歳までは砂糖を控えるべき、と分かりました。
味覚を形成する上でも、虫歯を予防する上でも、3歳までは砂糖を控えるべき、ということでした。
徳島大学歯学部予防歯科学所属の林祐行が、『永久歯齲蝕発病 と乳歯齲蝕の 関係』(口腔衛生学会雑誌 46(5), 734-744, 1996)にて、小学校 6 年生 児童116名 を対象 とした調査で、乳歯齲蝕の罹患状況が永久歯齲蝕発病に比較的大きな影響を与えていると考えられ、乳幼児期における健康指導・教育の重要性を示唆しています。
岡山大学歯学部小児歯科学講座所属の岡崎 好秀が、『幼児期から学童期にわたる齲蝕罹患状態に関する経年的研究』にて、655名の小児を対象として、3歳時と小学校1年生時から中学1年生時までの齲蝕指数の推移について経年的に調査しており、3歳時の齲蝕は将来の齲蝕に影響を与えることから、乳幼児期からの齲蝕予防の重要性を示唆しています。
つまり、乳歯が虫歯なら永久歯も虫歯になりやすいということですね。乳歯から永久歯への萌えかわりは徐々に起こるものなので、口腔内の虫歯菌は萌えかわっても引き続き居座るということでしょうね。乳歯は萌えかわるから虫歯になってもいいだろうという考えは良くないわけです。保護者の皆さんはお子さんの乳歯が虫歯にならないように注意していきましょう。
となると、ますます3歳までの砂糖の摂取は控えたくなりますね。できれば、3歳までは砂糖なし、米国心臓協会の声明から考えて、3歳以降も1日砂糖摂取量は25g以下を目指すべきかと思います。ちなみに、日本では1日砂糖摂取量の上限は現時点では定められていないようです。日本は海外からは遅れていますね。
しかし、有名どころのコカコーラ(500ml)には砂糖55g、ショートケーキ(100g)には砂糖29g、プリンには砂糖16g、シュークリームには砂糖15g、マックシェイクSサイズには砂糖70gが使用されているようです。想像以上に砂糖まみれなのが分かります。目標の砂糖摂取量に抑えようとすると子供へのお菓子は与えない方が良さそうですね。
しかし、幼児期の間食には、補食や3回の食事以外のエネルギー摂取の目的もあるので、幼児期の間食は必要でしょう。間食に何を与えればいいか、頭を悩ます必要がありそうですね。
ところで、虫歯の原因として砂糖にばかり注目が集まっていますが、虫歯には糖が必要であり、糖は砂糖だけではなく、炭水化物や果物にも糖が入っています。虫歯にならない為には砂糖に気をつけるだけではなく、糖分にも気をつけないといけないわけです。
口腔内細菌の発酵性(酸産生のされやすさ)は、
スクロース≒グルコース≒フルクトース>ラクトース>デンプン>ソルビトール>キシリトール、となっています。
デンプンは唾液によりグルコースに分解されるので発酵性で言えば、砂糖以外にもデンプンも無視できないことが分かります。しかし、砂糖には虫歯菌を歯面に強固に付着させる足場を作り、高い齲蝕誘発性を発現する役割を担うため、虫歯にとっての諸悪の根源として扱われている訳ですね。なので、口腔内清掃不良で歯垢が歯面に付着している人にとっては、多様な細菌が酸産生のために働くので、砂糖だけではなくグルコース・フルクトースなどを含む食品にも注意する必要がある訳です。
口腔内清掃状態が良好であれば、虫歯菌が歯面に付着する足場を作らせない為に、砂糖に絞って注意しておけばよいのではないでしょうか。
長々と述べてきましたが、まずは親・子供ともに口腔内を清潔に保つ。次に3歳までは砂糖を控える。虫歯予防で一番注意するのは砂糖だが、砂糖以外の糖分でも虫歯になることを知っておく。食事ごとに歯みがきをする、特に砂糖・糖分を摂取したときは気をつける。これらを遵守して子供を虫歯から守りましょう。
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