舌痛症について【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】
2020.10.01
アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。
今回は舌痛症についてお話していきます。
存知ですか??舌痛症!
ヒリヒリ、ピリピリと舌が痛い。とても辛い症状。
『舌痛症』って聞いたコトありますか??
舌がヒリヒリ、ピリピリと慢性的に痛むというとても辛い病気は、『口腔灼熱症候群』の一種です。
『口腔灼熱症候群』は舌だけでなく、口の中全体が焼けるように痛む原因不明の病気です。
いくら調べても原因が見つからない…。
辛い症状を抱えて何軒も歯科を訪れて、やっと診断がつく患者さんも多いこの病気の発症頻度は100人に1〜3人ほどと言われ患者さんの大半は中高年の女性です。なぜか痛みが舌の『歯と接するところ』に起きやすいのです。
『痛みの原因』が不明…それが舌痛症なのです。
歯科や耳鼻咽喉科、内科で診察や検査を受けても原因が見つからない。どこにも異常がないと言われます。謎の舌の灼熱感。
舌が痛む病気は、さまざまありますがそれらを疑っていろいろ調べてみても痛みの原因となってる病気が見つからない場合に診断されるのが『舌痛症』です。痛みの原因はいまだ不明ですがストレスや神経の過敏化との関連が疑われています。
舌が痛む原因には、舌を噛んだときにできるキズや口内炎にはじまり、カンジダ症やドライマウス、舌がんに至るまでさまざまなものがありますが、それらの可能性を全て調べても特定の病気が見つからない場合診断されます。
歯科で治療したところや歯並びが気になって舌で触っているうちにはじまったり、口内炎がきっかけになる方もいますが、とくにきっかけもなくはじまったというかたも多いです。
特徴は、中高年の女性の患者さんが圧倒的に多いということ。痛む場所は通常、舌の先や横っぺた。つまりちょうど歯に触れるあたりです。
また、朝よりも夕方から夜にかけて痛みが強くなる傾向があり、就寝中には痛みはなく、食事中や何かに集中している時は悪化せず、痛みが消えてしまうこともあります。そのため食事や睡眠の障害になることはまれです。
心理検査を受けていただくと、心配性でこだわりやすい、病気に対する不安が強い、過去に強いストレスを受けた、不安やうつ症状があるといったかたが多いのも特徴です。
『ストレスでなぜ舌が?』
と不思議に思われるかもしれません。でも心配事が増えると胃が痛くなったりすることは誰にでもありますよね。心とからだ、つまり『心の痛み』と『からだの痛み』は切っても切れない関係にあります。そう考えると全身の中でもとくに敏感で、とてと小さな感じとる感触や、繊細なうまみをキャッチする味覚を持つ舌が、心の痛みや疲れを感じとったとしても、なにも不思議ではないように思えてきます。
舌痛症の原因は、現在の研究では残念ながら『不明』とか申し上げられませんが、痛みを減らすために自分でもすぐにはじめられる改善方法などお教えしますので、専門外来への受診と合わせて是非試してみていただきたい思います。
舌痛症の特徴
中高年の女性の患者さんが圧倒的に多い。
原因不明の舌のヒリヒリ感が慢性的に続く。
舌が何かに触れていなくてまヒリヒリ感がある。
自発痛
歯科治療を受けた頃からはじまることもあるが、誤って噛んだキズや口内炎のほか、きっかけが見当たらないケースも多い。
痛みは多くの場合起きてる間にあり、就寝中はない。
食事中には悪化せず、痛みを感じないこともある。
なにか別のことに集中している時には痛みが減り、一人で考えごとをしていときなどに痛みが増す。
朝よりも夕方きら夜にかけて痛みが増しやすい。
時間帯や日によって痛みの程度や場所が変動する。
ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤が効かない。
舌痛症の診断には
くわしい問診とお口の検査のほか、最近検査や唾液量検査、味覚検査、血液検査、心理検査など複数の検査が必要になります。
舌が痛くなる病気は他にもあるため『それらの病気ではない』ことをこれらの検査でひとつひとつ確かめたうえで正確に判断していきます。
ところで、よく患者さんから『舌が痛むとき、どこの科を受診したら良いかわからなかった』とというお話をお聞きします。歯科にたどり着くまでにいろんな病院を受診してくる方が多いのです。
舌痛症の診断では、はじめに『舌に異常は?』
『舌が触れる歯や入歯に舌を傷つける問題は?』と確認する必要があり、歯科受診は必須です。
症状のある方は、まずかかりつけの歯科医院にご相談下さい。とくに異常が見つからない場合、舌痛症の診療を行っている口腔外科や口腔内科、歯科心身症の専門外来を障害してもらうと良いでしょう。
舌痛症の診察では、診察前に慢性痛治療向けの問診票を書いていただきます。症状の発生から受診するまでの経緯、どんな時に痛むのか、今までの健康状態や病歴、生活環境やご家族について現在の心理状態など質問は多岐にわたります。
問診票をもとに行う医療面接『問診とカウンセリング』は、舌痛症の治療にとって特に重要です。
痛みでお疲れの患者さんからお話をお聞きし信頼関係を築くことは、症状を改善させるための最初の一歩です。
診察
診察はおもに視診(目で診る)触診(触って診る)で行います。
お口の中
舌の異常や口腔乾燥、舌に触っている歯や入れ歯など舌のヒリヒリ感にかかわる明らかな問題がお口にないか確認します。
舌に口内炎の腫れや赤みなどはないか?
舌をキズつける入れ歯は?
舌の神経痛は?(痛みが左右どちらかに偏っている場合など)
お口の周囲
舌に炎症や腫瘍が出来るとあごの下にあるリンパ腺が腫れます。こうした異常がお口の周りにないか確認をします。
検査
血液検査
貧血や栄養不足による舌の痛みや、シェーングレン症候群などの可能性を除外するために行います。
鉄、亜鉛、銅不足になっていないか?
シェーングレン症候群になっていないか?
悪性貧血では?
唾液量検査
お口の中の乾燥が原因で痛みが起きていないかを調べるため、安静時の唾液量とガムを噛んだあとの唾液量を測ります。
ストレスや緊張による唾液減少の可能性は?
シェーングレン症候群によるドライマウスでは?
細菌検査
カンジダ菌による痛みが起きていないかを調べます。舌についた舌苔を採取して培養検査を行い診断します。
視診では確認できない感染症が隠れていないか?
味覚検査
味覚神経と痛みの神経のバランスが崩れると痛みが過敏になりやすいとされています。
味覚低下の可能性は?
心理検査
舌痛症は、その背景に不安やうつ症状がみられることがあります。ストレスの感じかたは患者さんの性格の影響か大きいので、心配性やこだわりやすさなどの傾向を調べます。
心身医学的な医療面接
より詳しく心理面、社会的環境面からお話を伺います。診断だけでなく、治療的な意味合いももつ医療面接です。歯科医師、精神科医がいっしょに診療にあたる場合もあります。
診断
舌のヒリヒリ感を引き起こす特定の原因や疾患がみつからない場合『舌痛症』と診断されます。
改善に向けたアドバイス
①どんな時に痛みが減るか観察してみましょう
②日中の食いしばりを発見してやめましょう
③痛みを抑えるお薬の服用も効果的
④服用➕カウンセリングと生活改善で効果アップ
舌痛症の原因は十分にはわかっていませんがひとつの説として言われているのが脳の神経ネットワークの複雑なシステムです。脳が心の痛み(ストレス)をキャッチして『からだが痛い』とシグナルを出してしまうことが一因でないかと考えられています。
また、痛みを抑える脳内ホルモンの働きがストレスによる低下、神経の過敏化も痛みが強化される一因だとされています。
舌痛症は原因も治療法も十分にわかってはいませんが、心身両面からの対応が必要な病気であることは確かです。舌痛症と診断を受けその発症に心身面がかかわっていると知るとショックを受ける患者さんも多いのです。
舌痛症の患者さんのほとんどは、社会生活をごく普通に送り、さまざまなことに丁寧に向き合っている真面目な努力家。
誤解しないでいただきたいのは舌痛症だからといって、その方がストレスに弱いわけではないということです。
もしかしたら舌痛症は患者さんの心が『そろそろ少しのんびりしませんか?』と発しっているシグナルかもしれません。治療結果に100%を求めず『生活に支障の出ない範囲ならよし』と、痛みと向き合っていくような気持ちで進めていきましょう。
(nico 2020/3月号参照)
当院の待合室には、歯科関連の情報誌としてnicoを置いておりますので、待ち時間の合間に是非ご覧頂ければと思います。
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