歯医者さんの食育【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】
2021.02.01
アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。
今回は食育ついてお話していきます。
お子さんの食のお悩みを抱えていませんか?
ある調査では、幼稚園・保育園の保護者の50%以上の方が「子供の食事に心配事がある」と回答しておられます(日本歯科医学会重点研究委員会平成27年)。
・離乳食がなかなか進まない
・好き嫌いが多い
・食べるのに時間がかかる
・少食
こんなお悩みを健診で相談して指導を受けても、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。
それもそのはず。幼児検診などでは、「何を食べさせるか」の話題がメインになりがちで、「食べる機能」についての視点が抜け落ちやすいからです。
■食べる機能って?
「食べる機能」は、おっぱいに吸い付く力(原始反射)のように生まれつき備わっているわけではありません。毎日の食事の中で発達し、獲得していく能力なのです。加えて、歯の生える時期にはかなり個人差があります。よって、「食べる機能」の発達を月齢で区切るのは、難しいのです。
今回は、お子さんの食の悩みについて、歯科ならではの「食べる機能」に注目して解説します。
■離乳食初期(5,6か月~):いつから始める?
それまでおっぱいを原始反射で飲んでいた赤ちゃんにとって、離乳食の開始は大人が想像する以上に大きなハードルです。反射がまだ少し残っている時には、いくら美味しい離乳食でも「ベェー」っと舌で出します。おっぱいをよく飲んで元気なら心配いりませんので、離乳食を食べたがらないときは、2週間ほどお休みをオススメします。
お口と胃腸の発達はつながっているので、早すぎる離乳食開始は下痢の原因にもなります。
では、開始時期はどう見極めたらよいかというと、ちょっとしたコツがあります。
スプーンでちょんちょんと下唇をつついた時に、舌で押し出したり、口を尖らせスプーンを入れさせないのは「まだ早い」というサイン。お口を開けてくれる時期を待ちましょう。
■離乳中期(7,8か月~):いつから固形物?
ペーストから固形物への移行は、どうしたらスムーズに進むでしょうか。
下の前歯は生えてくる7,8か月頃から、上くちびるもよく動くようになります。
そして、舌をあごの天井まで持ち上げられるようになり、お豆腐のような少し形のあるものをあごに押し付けて上手につぶせるようになります。
くちびるが左右にキュッキュと引っ張られていたら、それが食べ物を舌で押しつぶしているサインです。
このサインがみられたら、形のないペーストから、やわらかくつぶせるような形のあるものを食べられるようになっています。
しかし、この動きを「モグモグ噛んでいる」と勘違いして硬めのものを食べさせると、とたんに「ベェー」です。
「手に負えないものは食べない」という、生きていくために重要な感覚が作動するからです。
噛んで食べられるようになるのはまだだいぶ先なので、焦らないでくださいね。
また、スプーンをお口の奥に突っ込んだり、上くちびるの裏に擦り付けるようにして食べさせるのは、くちびるや舌の機能と感覚を育てるのに不利です。
スプーンの横側からお口の前の方に入れてあげるのがベストです。
食事の効率が多少悪くても、「食べる機能」と「意欲」をはぐくんであげましょう。
■離乳後期(9か月~):噛む練習が始まります
前歯が生えそろうと、ついに下あごをモグモグ動かす「噛む」動きが始まります。
ただ、奥歯はまだ生えていないので、本格的な「噛む」はまだ先です。
離乳食の進め方が急だと噛めずに丸のみしてしまったり、食事への警戒感で「イヤイヤ」」が長引いたりするので、のんびりいきましょう。また、この時期は「手づかみ食べ」も始まります。
まだ不慣れなので散らかし放題ですし、一口量が分からなくて詰め込みすぎる→吐き出すなどの様子もみられますが(のどに詰まらせないよう注意)、将来、器具を使って食べるための練習なので多めにみましょう。
■離乳完了期(1歳、1歳半~):噛む&自分で食べる
奥歯が生え始めると、「噛む」動きがぐっと上手になります。
また、離乳後期に詰め込みすぎの失敗を重ねたおかげで適切な一口量が分かり、「かじり取り」ができるようになります。この時期には、「かじり取り」の練習のために、一口サイズに切って与えすぎないように気を付けてください
機能の発達とともに食べる意欲も育ち、「自分で!」という自己主張が始まります。
まだ大人のように上手ではないので、とても散らかりますが、大きな心で見守ってあげてください。
■こんな時は歯科受診を
① 前歯が噛み合わない
指しゃぶりであごが変形し、前歯がかみ合わなくなってしまうことがあります。この状態ではかじり取りができず、「食べる機能」が育ちにくくなります。指しゃぶりは、3歳後半になったら、やめるように促しましょう。骨格が柔軟な4歳頃にやめられれば自然と前歯が閉じて治ることも多いのですが、心配なら歯科医に相談しましょう。
② 虫歯だらけ
虫歯で歯を失うと、かじり取りや奥歯でよく噛むことができず、食が細くなります。離乳完了期を過ぎても夜の授乳を続けると、上あごの前歯から虫歯が徐々に広がり、多数の虫歯の原因になります。定期的に歯科医院で予防指導を受けることを勧めます。
③ 滑舌がわるい、舌が動きづらい
おっぱいの吸い付きが悪い、体重が増えない、滑舌が悪い(ら行、さ行、た行が苦手)、舌先がハート型などの症状がみられたら、舌小帯に異常がある可能性があります。からだの成長や学校生活にも影響するので、小児歯科に相談して切ってもらいましょう。
④ お口ぽかん
口呼吸の癖があると上下のかみ合わせが悪くなり食事がしづらくなる他に、感染症にかかりやすい、独特の顔貌になる、集中力が続きにくいなどの問題も起きやすいです。歯科医院で唇の筋力トレーニング指導を受けましょう。
当院の待合室には、歯科関連の情報誌としてnicoを置いておりますので、待ち時間の合間に是非ご覧頂ければと思います。
何かご不明な点があればお気軽にスタッフまでご質問下さい。