出産回数と歯の健康について【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】
2019.07.15
アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。
今回は出産回数と歯の健康についてお話していきます。
国立研究開発法人 国立がん研究センターにて、出産回数と歯の健康との関連について調査が行われました。BMC Public Healthという海外の専門誌( 2013年13巻993ページ)にて投稿された論文の内容となります。
1,211人(男性562人、女性649人)において、1990年の多目的コホート研究のアンケート結果から、女性の出産回数を、0回、1回、2回、3回、4回以上の5つのグループに分けました。各グループの割合は、0回が5.5%、1回が10.5%、2回が57.2%、3回が23.1%、4回以上が3.7%でした。出産回数と保健行動との関連では、出産回数が多いグループほど非喫煙率が高い傾向がみられました。
出産回数と歯の健康との関連を解析した結果、出産回数の多いグループほど、残っている永久歯の数が少なく、出産回数4回以上の女性では出産回数0または1回の女性に比べ約3本少ない結果となりました。また、奥歯のうち上下でかみ合っている永久歯のペア数についても、出産回数の多いグループほど少なくなりました。男性においても、出産回数の代わりに子どもの数を用いて同様の分析をしましたが、このような関連はみられませんでした。歯を失う原因は、虫歯と歯周病がほとんどです。妊娠・出産のプロセスに伴いホルモンや口の中の細菌のバランスが変化し、免疫力が落ちることで、むし歯に罹りやすくなったり歯周組織の破壊が起こりやすくなったりし、妊娠毎にそれが繰り返されることで、歯の喪失に至るリスクが高まると考えられます。
今回の研究で、出産回数の多い女性では歯を失うリスクが高いことが示されました。この結果は、社会経済状況や健康習慣が影響しないように調整した後も変わりませんでした。また、奥歯のうち上下でかみ合っている永久歯のペア数についても、出産回数の多いグループほど少なくなりました。 今回の研究では、未処置歯の本数には出産回数による違いがみられませんでした。これは日本が国民皆保険であり、誰もが比較的安価で歯科治療を受けることができるためだと考えられます。 得られた結果について注意すべき点として、健診を行った歯科医師内や歯科医師間の信頼性評価が行われていない点、また自主的に参加していただいた方が解析対象となっているために、日本人を代表するサンプルとなっていない点が挙げられます。
今回の研究により、女性の出産回数が歯の健康に影響していることが示されました。その理由の一つとして、妊娠中の女性の半数以上は歯科治療を避ける傾向があり、しかも妊娠中に歯が悪くなることは仕方がないと考えていることがあります。しかし、妊娠中の歯の治療が胎児に悪影響を及ぼすという科学的根拠はありません。さらに、妊婦の多くは歯ぐきの出血が炎症のサインであり治療が必要であるという認識がありません。また、歯科医師も妊娠中に積極的に治療を行うよりも、出産後の治療を勧めがちです。しかしながら、妊娠中に歯の治療や予防を含めた管理を適切に行うことは、安全で効果的です。妊娠・出産による歯の健康の悪化を防ぐためには、妊婦に対し、妊娠中は歯の疾患の予防に積極的に取り組む必要があるという正しい知識を伝えることが必要です。
とのことでした。
妊娠中の方、出産後の方、記事を読んで気になられた方は、ぜひ当院へお越し下さい。
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