適切な咀嚼回数、の続き1
2018.09.25
こんにちは、田中です。
前回、日本咀嚼学会が30回という咀嚼回数を目安と考えていること、日本政府が一口30回以上と推進していたことから考えて、適切な咀嚼回数は30と、特に目新しくもない結論が導き出されたのは記憶に新しいことかと思います。
さて、今回は前回の続きとなります。引き続き、日本咀嚼学会の発信、を引用していきましょう。
飽食の時代にあって、肥満を防ぐ安全で効果的な方法を見出すことは重要です。次に、肥満を防止する点から 30 回咀嚼を考えてみましょう。
肥満者は、健常者と比較して特別な食べ方(食行動)をすると考えられてきました。その中でも昔から食べる速さ(摂食速度)を遅くし、一口量を小さくすれば、食べる量を減らせると考えられてきました。
当然、肥満者と健常者の食行動を比較した研究はたくさんあります。その中には、ゆっくり食べることの「効果が確認できた」とするものや、「何も効果は見られない」とする、相反する結果が報告されています。にもかかわらず、「ゆっくり食べるとエネルギー摂取量が減少し、体重が減少する」とする研究報告や、「早食いは BMI(body massindex)を高める、または肥満に繋がる」とする研究報告が一般的です。早食いの人は、脳が満足する前に、本来であれば十分満足できる量の食物をすでに腹に入れてしまっている(食い過ぎ)、と考えられます。
咀嚼すればするほど、健康に良いという考え方そのものは、特に新しい考え方ではありません。一口量を噛めば噛むほど、全体的に食事時間は延びるが、結果的には食事量すなわち体に取り入れるエネルギーが減るという教えを最近になって確認した研究があります。Smit ら(2011)は、一口量の食物を 35 回咀嚼した場合と 10 回咀嚼した場合で比較しました。その結果、35 回咀嚼すると「満腹」を感じるまでの食事時間は 2 倍になったにもかかわらず、食事量は減少することを見出しています。この結果は、これまでに発表されている摂食速度(食べる速さ)に影響
を及ぼす要因を調査した研究と一致し、ゆっくり食べることで食事量、すなわち取り込むエネルギー量を減らせることを示しています。しかし、他の研究者はその関係を否定するなど、様々な説があり、万人に「ゆっくり食べること」を推奨するまでには至っていないのが現状です。
とのことでした。
個人的な感想としては、しっかり噛んでゆっくり食べた方が、健康には良さそうですね。